好きな事で個性的になるタクシーに乗った

鹿児島出張でタクシーに乗った。
白髪のベテランタクシーの運転手さんだった。そのタクシーはいつも乗るタクシーと違っていた。
ソーシャルメディアサラリーマンのイッシーです。


運転手のおじさんに行き先を告げると
「何か音楽でも聞きますか?」
と尋ねてきた。

「何が聴けるんです?」

「何でもありますよ」と
ハンドルの横にはタブレットPCが付けられていた。
白い手袋をはずし、モニターをタッチしながらファイルを選んでる。

「じゃあ、JAZZでも」と僕が言うと

「では、ノラでもしますか」とおじさん。

ノラとは野良ではなく、ノラ・ジョーンズ。
グラミー賞8冠とった女性ジャズシンガーだ。
モニターからはMTVが映り、後ろからは後付けしたスピーカーからいい音が流れてきた。


「他にはどんな曲があるんですか?」と訊くと

「フォークも演歌もなんでもあるよ。」と
信号待ちになり、モニターをタッチするとアリアナ・グランデの名前もあった。

スゲ〜なぁ、このおっちゃん。

「こんだけあるとお客様も喜びますよね」と言うとニコッと笑顔になり
「BBキングでも聞く?」と。

なんでいきなりBBキングなのかわからないけど
「いいっすねー」と言うと「The Thrill Is Gone」が流れた。
ブルースが僕のイメージか?(笑)

「こんなタクシーだとお客さんから指名があるんじゃないですか?」と聞くと

「そこまではないね。でも、乗るとラッキーだ。とは言われるね。」

ちなみに、このタクシーは個人タクシーではなく地元タクシー会社である。

「個人タクシーかと思いましたよ。」と言うと

「他の人も真似しようとしたけど会社から怒られてたよ。」

「おじさんは黙認なんだ。(笑) お客さんが喜んでもらえればいいよね〜」

「そうなんだよ」

そんな会話をしているうちに目的地に着いた。

おじさんはバンドマンでもないし、ただ音楽が好きで、お客さんに喜んでもらえればいいとやり出しただけ。

タクシー会社のいち運転手でもこんな個性的なタクシーになる。

そんな鹿児島の出来事でした。